【広島カープ】「絶対に2000本を打たせたい」野村謙二郎の大記録の裏にあった隠れた話

2020年02月14日 20:00

[広島カープブログ]

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抜粋

【名伯楽「作る・育てる・生かす」】#22

「絶対に2000本を打たせたい」

 2002年のオフ、巨人から広島の一軍打撃コーチに復帰した私に、山本浩二監督が言った。

 チームリーダーの野村謙二郎のことだった。その時点で通算1763安打。2000安打まで残り237本としていたものの、36歳のベテランになって肉体的にも技術的にも難しい時期に差し掛かっていた。長いシーズン、一年を通じてレギュラーで出るのはもう難しい。要所で活躍できるような状態をキープさせることが、打撃コーチである私の仕事だった。

 山本監督は続けて、「2年で達成させたい」と言った。結局、03年は打率・274で85安打、04年は同・270で97安打。目標の2年間では達成できず、残り55本で05年シーズンを迎えた。

 先発出場の機会も減っていたが、山本監督は「シーズン前半だけはスタメンを多くしよう」との方針を打ち出した。野村は生え抜きの幹部候補生で、95年にトリプルスリーをマークするなどカープの功労者。その功績に報いてやりたいという監督の親心だった。

 そうして始まった、05年のある日の試合後のこと。帰宅して夕食を取っていると、インターホンが鳴った。出ると、野村が玄関先に立っている。何事かと思ったら、やおらバットを差し出し、「プレゼントします」。その日の試合で2000安打へマジック1とするヒットを放った際の“記念のバット”。そこには「1999本」「みんなに感謝」と記してあった。

 記録を達成すると記念品を作る。しかし、そういう人に配るためのバットではない。1999安打を放った実物を持ってきてくれた。粋なことをすると感激した。すでに最多安打と盗塁王を3度ずつ獲得している選手。駒大の後輩ではあるが、少しは後押しできたのかなとうれしく感じた。まさにバッティングコーチ冥利に尽きることだった。

■「左投手には牽制させろ」

 監督時代の野村は緻密な野球にこだわった。例えば左投手に牽制球を投げさせると、打者へ投げる際も開きが早くなる傾向がある。甘い球がきやすくなるのだから、一塁走者は意識してリードを取ること。牽制された際、何歩のリードなら戻れるのか。ヘッドスライディングでギリギリ戻れる場所はどこか。球界では「走塁が一番難しい」といわれるが、そういうことを選手に求めた。

 野球は点取りゲーム。走者が一、二塁止まりか。一、三塁にするのか。足が速い、遅いは関係ない。一つでも前の塁へ進塁する。少しでも点を取りやすい状況に持っていく。たとえ足が遅い新井貴浩でも、1本の安打で一塁から三塁へ進塁する意識を持っている。これがカープ野球の原点だ。野村監督の功績は他にもある。

(内田順三/前巨人巡回打撃コーチ)



引用元 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200208-00000007-nkgendai-base
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